はじめに - 終戦の日 -
今から約80年前の1945年8月15日、ラジオ放送で昭和天皇が日本国民に対して戦争の終結を宣言した。
放送を聞いた当時の国民は何を思ったのだろうか。それまでの耐え難きこと忍び難きことから解放され安堵をもたらしたのか、多大な犠牲を無駄にする気かと憤りを覚えたのか、内容を受け止めることができず混乱を招いたのか、今後の日本の行く末に不安を持ったのか、おそらく受け止め方は人それぞれであったであろう。
国際的には終戦の日は日本が降伏文書に調印した9月2日であるが、日本では8月15日である。それは日本国民が戦争の終結を認識した日が8月15日であるからだ。
同じく連合国に対して降伏したドイツでは降伏文書に調印した5月8日を終戦の日としているが、ほとんどの国民はその事実を知ることはなかった。それは当時のドイツ国家は完全に崩壊しており、多くの土地が連合国に占領され、最高権力者が不在である中で国民に対して終戦を宣言する力や方法もはやも残されていなかった。
一方、本土があり、最高権力者が存命する日本では絶望的な戦況にも関わらず国家としての統治機能がまだ残されていたのである。




